「潜在するごみ」や廃棄物処理費の高騰など、切迫する国内廃棄物問題。タカノメ自動車版を使って解決に取り組もうとする山一商事様の想いとユニークな活動に迫る。【山一商事様】

こんにちは。いつもごみ拾いSNSピリカを使っていただき、ありがとうございます!

今回は、ユーザーインタビュー企画として、株式会社山一商事 代表取締役 松本大輔様にインタビューを行いました。


山一商事様は、廃棄物の収集からリサイクル・中間処理そして最終処分までを運営され、特に大規模な廃棄物が発生する建設業界において再資源化で高い実績を上げている企業です。

同社は、相続され解体できない廃墟・まちのポイ捨てごみなど、適切に処理されず放置されている「潜在するごみ」への課題意識からタカノメ自動車版を導入されました。同サービスでポイ捨てごみデータを集めることで、お客様からの反響やドライバーの意識向上に繋がったそうです。導入背景、また今後の展開について、お話をお伺いしました。


【お客様基本情報】

企業名:株式会社山一商事

業種:廃棄物処理業

ご導入いただいた商品・サービス:タカノメ自動車版


《今回のインタビューにご協力いただいた松本大輔様(写真右)

ガーナのごみ処理場にて撮影》


動脈産業の発展が優先された高度経済成長期から、静脈産業の強化について考えてきた

ーー山一商事様の理念を拝見したのですが、循環型社会の構築を理念に掲げていらっしゃいます。こちらは創業当初からですか?

創業当初から資源の循環に注目しており、15〜20年くらい前から循環型社会が重要視され始めた流れを組んで理念に取り入れました。

弊社は高度経済成長期に創業して今年で44期目になりますが、当時日本は製造業に重点を置き、ごみ処理や資源の循環に対する社会の意識が低かったです。動脈産業と呼ばれる製造業に対して我々は静脈産業と呼ばれるのですが、産業にとって製造業も廃棄物処理も同じ血液であり、作った分廃棄されるので静脈の強化が必要だという問題意識がその頃からありました。


「潜在するごみ」や国内廃棄物問題が切迫する中、静脈産業からの問題提起が必要

ーー大気汚染や気候変動などに注目が集まる中、環境問題の中でも特にごみ問題に取り組む意義をお伺いしたいです。

環境問題解決と利益担保のバランスが難しくなり、国内の廃棄物処理問題が切迫しているため、ごみ問題に取り組むことは非常に意義があると考えています。また、国内の廃棄物問題を解決するためには静脈産業側の努力だけでは足りず、商品を製造する動脈産業や商品を使った後捨てる人たちと連携する必要があります。そのためにまず静脈産業側から問題提起することが必要ですので、その位置づけにある弊社もごみ問題を発信していくことが大切だと考えています。


ーー国内の廃棄物処理問題として、例えばどんな問題がありますか。

例として廃棄物処理費がここ数年で急激に膨れ上がったことと、「潜在するごみ」の問題があります。廃棄物処理費が高くなった背景には、中国が廃棄物輸入を制限したことがあります。それまで日本はプラスチックごみの一部を中国へ輸出して安く処理していたのですが、その行き場が無くなって国内で処理しきれなくなり、処理費が一気に膨れ上がりました。


ーー廃棄物処理問題の2つ目として挙げられた「潜在するごみ」とは何ですか?

正式に産廃処理が申請されず、処理されていない不用物のことです。ごみ捨て場などで正式に手続きされるごみや、明らかにごみだと分かるものを「表面化されたごみ」とすると、相続されていて外部から介入できない廃墟や、財源不足で解体不可能な建物など、不要なのに処理できないというものが「潜在するごみ」です。例えば廃墟に関して解体費用をかけるだけのメリットがなく、特に過疎地域では解体後に作る建物がないため、廃墟が放置されさらなる過疎化に繋がっています。


ーー同じごみ問題でも、産業廃棄物問題と、ポイ捨てごみ問題は少し分野が変わりますが、その中でポイ捨てごみに関わろうと思ったのはなぜですか。

ポイ捨てごみは「表面化されたごみ」と「潜在するごみ」のちょうど間だと感じ、ポイ捨てごみ問題に取り組むことが「潜在するごみ」への課題意識につながると感じたためです。ポイ捨てごみは、明らかにごみだと分かる点で「表面化されたごみ」と言えますが、正式な手続きで捨てられていない点では「潜在するごみ」とも言えるため、ちょうど中間だと思いました。


等身大の反応を通じて、より多くの方にごみ問題を考えるきっかけを提供

ーー御社ではごみ問題に関して様々に活動されています。最近は、御社のリサイクル工場を見学したアスリートへのインタビュー記事を拝見したのですが、素敵な取り組みですね。

我々の業界は一般的に暗いイメージがあるので、明るいイメージのあるスポーツ団体の方がリサイクル業界に目を向ける覚悟を発信するために協力していただきました。普段廃棄物処理業に関わらない方が知らなかった世界を見た時の戸惑いも含めて等身大の反応をお伝えしています。一般の方々に1人でも多く知ってもらいたいし、綺麗事ではない実態をお伝えしたいと思っています。

《アスリートへのリサイクル工場見学のインタビュー「トップアスリートと考えるSDGs」》


お客様へサービスの付加価値向上や、ドライバーの意識も向上

ーーなぜタカノメ自動車版を導入したのですか?

ピリカの小嶌社長の真剣さに驚き、また可能性を感じたからですね。行政やボランティアがボイ捨て問題に取り組む中で事業としてここまで熱心にやる人はいなかったですし、タカノメ自動車版はすごく役に立つだろうと感じました。あとは、高速の出口にポイ捨てごみが多いのですが、トラックドライバーがよく捨てているんです。僕たち廃棄物処理業のドライバーでも平気でポイ捨てする人もいると思うので、データを明らかにして抑止力にしたいなと。


ーータカノメ自動車版導入後、お客様から反響はありましたか?

ありましたね。お客様先に出向く際に、その道中のポイ捨てごみデータをタカノメ自動車版で集めているとお伝えすると、興味を持ってくださるケースも多く、喜ばれます。弊社にごみ処理を頼むことが社会貢献に繋がっている点が良いみたいです。あと、普段行政の方とお話しするのですが、とにかく財源がないと言っていて。私たちの活動によって、地域の美化活動の推進やポイ捨ての抑制など良い影響になればと思いますね。


ーータカノメ導入で社内での変化はありましたか?

前からドライブレコーダーで急発進などを検知していたのですが、ピリカの搭載でさらに事故やクレームを起こさない運転を心掛けるようになりました。また、タカノメを搭載したトラックにピリカさんのステッカーを貼らせていただいてますが、環境問題に貢献しているというスポットライトが当たるようになったことで、良い緊張感を与えていると思います。

《タカノメを搭載したトラックに貼っているステッカー》


タカノメで収集したデータを活用して不法投棄を抑制し、世界中で使われるシステムになることを願う。

ーー今後ピリカのサービスに期待することはありますか?

タカノメ自動車版が世界中で使われるシステムになってほしいです。ヨーロッパなど資源・ごみ問題への意識が高い場所にピリカさんの取り組みが広まった時が楽しみですね。本当に地球規模の問題だと思いますので。


ーータカノメ自動車版で集めたデータは今後どのように活用していきたいですか?

タカノメで収集したゴミ分布データを活動エリアである自治体に提供し、自治体がそれを元に不法投棄の抑止力になるアクションを行ったという実績を作りたいです。「データで不法投棄が多かったこの場所に看板を作りました」みたいな。

《タカノメで集めた情報を元にゴミの分布を示すマップ》


リサイクル率向上と全ての廃棄物の受け入れは両立不可能。解決には動脈産業や使用者との協力が必要。

ーー御社は前々から廃棄物処理問題に取り組まれていますが、今後さらに取り組みたいこともありますか。

焼却炉の排気ガスに使うCO2回収装置の導入と最終処分場の確保ですね。

廃棄物処理業でCO2を主に出しているのはトラックですが、いずれその動力は電気や水素に変えられるため、結局焼却処理のCO2がネックになります。現在の技術レベルでは焼却処理はまだまだ必要なので、カーボンニュートラルのためにCO2回収装置を導入したいです。最終処分場は、今の技術ではごみを100%リサイクルすることができないため必要です。弊社の昨年のリサイクル率は96%ですが、これを98%にするには自社の努力だけでは難しいことも多く、同業他社や他業種とも垣根を越えて積極的に協力し合い、少しでも多くリサイクルできる体制を整えていきますが、リサイクル率を高めつつもどこかに埋めないといけないことを受け止め、最終処分場の確保もしていきたいです。


ーーどの廃棄物の受け入れも断らずに最終処分量を減らすには、御社の技術だけでなく作る側との連携も必要になりますね。

リサイクルを前提に設計してもらうなどの協力が必要ですし、雑な分別ではリサイクルできないので使う人の意識も大事です。まずはこうした動脈産業や使用者への働きかけを、静脈産業側から行う必要があると思います。もっともっと提起する人を増やすためにも、私たちがタカノメ自動車版で得たデータを地域の方々に伝え、それらが活用される未来を一緒に創りたいと思います。


今回山一商事様にご導入いただいた「タカノメ自動車版」の詳細はこちら

インタビュイー:株式会社山一商事 代表取締役 松本大輔様

インタビュアー:株式会社ピリカ 土屋明子

文責:株式会社ピリカ 大井彩也夏