ピリカのアップデートで実現したかったこと

こんにちは、株式会社ピリカ代表の小嶌(こじま)です。
先日ごみ拾いSNSピリカを数年ぶりに大幅アップデートしました!
(対応できていないスマホもあるので、人によってはナンノコッチャという感じかもですが)
アップデート後に「使い方が分からない」「影響度って何?」「○○の機能は残しておいて欲しかった」など、たくさんのご意見をいただきました。
特に印象に残ったコメントとして「以前変更の時は、小嶌さんがわざわざ会いに来てくれて、声を聞いてくれた結果○○を付けてくれたのに、外す時は何も無いのも寂しいな...」という声がありました。(スミマセン!!)
最近、組織としてのピリカも少しずつ変化し、方針や体制が変わったり、昔と同じようにできなくなってしまったこともあります。そういったことを、皆さんにしっかり説明することなく進んできてしまった反省もあり、今日はアップデートで実現したかったことや、これからピリカが向かう先について書きたいと思います。
目次

そもそもピリカは...

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ピリカは、環境問題の解決を目指す研究者(見習い)であった僕が、大学の研究設備や電気代、優秀な友人の脳みそを拝借して作り始めたサービスです笑
僕は子供の時に読んだ本の影響で「自分の人生は環境問題の解決に使う」と決めていましたが、人生で最初に解く問題を決めきれずにいました。そこで、一旦旅に出て世界中を見てから決めようと思い、結果として見つけたのが「ごみの自然界流出」という問題でした。
世界中のあらゆる場所に捨てられたポイ捨てごみは人間社会だけでなく、自然界にも流出し、生態系に大きなダメージを与えています。(海の中にプラスチックごみが大量に蓄積していて、2050年には重量比で魚を超えるごみが海に溢れるってご存知でしたか?)
海に流出しているごみの8割は陸で発生しています。まず陸のごみを、効率よく、たくさん拾って、自然界に流出する前に回収する必要がありました。
でも、ごみの量は膨大で一人で拾いきれる量ではありませんし、世界中に散らばってしまっています。じゃあどうすればいいのか。
そこで生まれたのが、ピリカのアイデアでした。
すでにごみを拾って方々の行動を見える化して、より多くの人に知ってもらえるようにする。
その行動を見た人が影響を受けて、新たにごみを拾い始めたり、ポイ捨てするのをやめるようになる。
小さかったごみ拾いの輪は、きっと大きく広がり、いつか世界中のごみを拾い尽くす。
「誰が使うんだ」と笑われましたが、いろんな方々の協力を得て、ピリカはこの世に生まれました。(僕は中退することになりましたが...)
あれから7年が経って、ピリカは世界80カ国に広がり、これまでに7,000万個のごみが回収されました。
ピリカを使い、ごみを拾ってくださった皆さんのおかげです。本当に感謝しています。
でも足りないんです。この問題を解決するには、全然足りない。
もっと多くの人にピリカを使ってもらい、もっと多くのごみを地球上から回収する必要がありました。そのためには、これまでのアプリでは不十分だと思いました。
だから、僕たちはピリカをアップデートすることにしました。

アップデートの内容

ごみ拾いアプリ「ピリカ」は

・ごみ拾い人口の拡大
・拾われるごみの量の最大化

を通じて、今や人類を含む地球上のあらゆる生命にとっての脅威となりつつある「ポイ捨てごみ問題/ごみの自然界流出問題」の解決を目指しています。
そのために、今回は「ごみ拾いの輪を広げる」「企業や団体の方にも使いやすく」「手に負えないごみを見つけた時の対処」の3つを意識してアプリをアップデートしました。
ごみ拾いの輪を広げる(マップの強化、イベント機能、影響度)
マップの強化
今回、最も大きく変わったのがマップです。マップではこれまで、各都道府県で最新の一件しか投稿を読み込めなかったのですが、今回のアップデートで、地図を拡大していくと、どんどん過去の投稿が読み込まれるようになりました。
是非皆さんも、思い入れのある地域や近所を拡大してみてください。
思いのほか、多くの人がごみを拾ってくださっているのが分かると思います。
ごみは拾うとその場からなくなってしまいますが、記録に残しておくことで、後からいろんな人の行動に影響を与えることができます。
自分の身近な場所でごみが拾われてると知った人が、新たにごみ拾いを始めたり、ポイ捨てするのやめたりする... そんな世界を思い描いて、マップを改善しました。
イベント機能
イベントは新しくできた機能です。ごみ拾いというハードルの高い行為も、イベントでなら始められるかも、続くかも。そう思って、気軽にイベントへの参加や開催ができるように機能を作りました。
まだエラーが多い機能で、少し使いづらいのですが(涙)、そのうち皆さんの近所でもイベントがアップされていくかもしれません。まずは是非「春のカン祭り」や5/3の「PIRI-CUP」に参加してみてください!

影響度
影響度は新しいパラメータです。これまで、皆さんが拾ってくださったごみの量は記録してきましたが、皆さんがごみを拾ったり、活動を見える化したり、いろんな人を応援した影響によって、間接的に地球から回収されたごみの量はなかなか数値化できずにいました。
影響度は、
・ごみを拾う
・皆さんのごみ拾いが誰かに見られる
・誰かがごみ拾いを始めるきっかけを作る
・イベントを企画する
・ありがとう送ってごみ拾いする人を応援する
といった行為の影響で「間接的にどれだけごみが拾われたか」を数値化する試みです。
「ありがとうを1回贈ると、どのくらい拾われるごみが増えるのか」「ごみ拾いをFacebookにシェアすると、何人が新しくごみ拾いに参加するのか」など、まだ分かっていないことが多いので、計算式は勘の部分が大きいのですが、少しずつ研究&改善して、影響度の数字が増えれば増えるほど世界からごみが減っていくようにできたらと思っています。
企業や団体の方にも使いやすく(個人版と企業団体版の統合)
ピリカは個人のごみ拾いを見える化して広めるプロジェクトとして始まり、後から企業や団体の方にも使っていただける様になりました。

企業や団体の方が集団で清掃する場合、一度に何千個、何万個というごみが拾われるので、ごみの個数を数えるのは無理がありました。
そこで、企業や団体の方には、アプリではなくパソコン版の専用ページから投稿していただいていたのですが、やはりスマホから簡単に投稿できた方がいいだろうということで、個人版のアプリと企業団体版を統合しました。

※個人版・企業団体版の両方を使っていた方は、アカウントを切り替えられるようになりました。
また、統合に合わせて、これまで企業や団体の方しか使えなかった機能を、個人の方も使えるようになりました。
企業団体版でしか使えなかった機能の例
・ごみの量を45L×2のように袋単位で記録
・参加人数の記録
・過去に遡ってごみ拾いを投稿
ちなみに、企業団体版の利用者から多かった要望に応える形で、カメラロールから複数の写真を選んで投稿できるようになっています。(まだトラブル頻発で安定して使っていただけるようになるにはもう少し時間が必要ですが...)
手に負えないごみを見つけた時の対処(通報機能)
恐らくまだ誰も気づいていない隠し機能が、手に負えないごみの通報機能です。
投稿ボタンを押したまま、上にぐっとスワイプしていただけると、パトランプのようなアイコンが表示され、不法投棄やごみ箱の溢れなど、手に負えない問題を報告&通報できます。(結果はピリカから市役所などの管理者に連絡します)
大量の不法投棄など、1人では手に負えないごみについても、皆さんの力をお借りして、少しずつ解決していけたらと思っています。
以上がアップデートの概要です。他にも変わった点がたくさんあるので、ぜひ探してみてください。ピリカを通じて1人でも多くの人がごみ拾いに参加し、1つでも多くのごみが拾われたらと願っていますし、僕もその1人でありたいと思います。

質問と回答

投稿ができない、エラーになる
特にiPhoneのカメラロールから写真を選択した方が多くエラーになっているようです、すみません。現在開発チームが改善に向けて作業中です。 
拾われたごみの数がリットル換算されてしまう、もう個数は見られないのか
今回のアップデートで、拾ったごみの数で成果を表示していた個人版と、拾ったごみの量(容積)で表示していた団体版の表示形式を統合する必要がありました。
我々の目的である環境問題の解決という観点では、よりたくさんの量のごみを拾って欲しいことから表記は基本的にLに統一しています。(同じ個数でも、容積の大きなごみの方が、地球環境に与える負担が大きいからです)
ですが、普段1つ1つごみを拾ってくださる方にとって、容積(リットル)はちょっと実感しづらい単位だなとも思い、こちらについては表示を切り替えられるよう開発を進めています。
ごみの種類はなぜ無くなったか
今回のアップデートで、ごみの種類ごとのカウンターを無くしました。「たばこを1,000本拾った!」のように個数を励みにされていた方や、記録や報告に用いていた方も多いと伺っており、申し訳なかったなと思います。
そもそもピリカに、ごみを種類ごとに数えるカウンターをつけた目的は、落ちているごみの種類を把握し、地域ごとの問題解決に役立てることでした。
しかし、数年間のピリカの運営を通じて「ピリカを通じて得た、ごみの種類ごとのデータが問題解決に役立つ」という僕の仮説は、間違っていたことが明らかになりました。
 “僕の”仮説と書いたのは、当時僕が主張していた仮説の誤りを予期&指摘していたスタッフがいたからです。今から考えると彼らが正しかったのですが、僕は自分の主張を押し通しました。
というのも、多くの人はごみを拾う際に、その場にあるごみを全て拾うのではなく、拾いたいごみを、拾いたい量だけ拾うので、実際に落ちているごみと、拾われたごみにはズレが生じてしまうのですね。(僕自身、外出中に「あのごみ、拾ったほうが良いよなー」と思いつつ、急いでいてスルーすることがよくあります)
また、ごみがたくさん拾われている場所があったとして、そこにごみが多かったのか、たまたま熱心なユーザーさんが多くいらっしゃったのかは分かりません。
ごみ拾いアプリ「ピリカ」は、拾われているごみの量を把握し、ごみ拾いの輪を広げるためには意味があるアプリでしたが、落ちているごみの数を正確に把握するには不完全だったのです。
この問題をカバーするために作られたのが「タカノメ」というポイ捨てごみ調査のアプリです。スマホで街を撮影し、落ちているごみの数や種類を読み取り、街をきれいにするために必要なデータを漏れなく集める仕組みになっています。(業務用のアプリなのでストアで公開はされていませんが、多くの市役所や区役所に導入されています)
ごみ拾いを広めるための「ピリカ」と、ポイ捨てごみを調査するための「タカノメ」。
この2つが揃ったことで、ごみ拾いアプリ「ピリカ」では必ずしもごみの種類を記録する必要が無くなりました。
一旦作った機能を無くすのは大きな決断でしたが、種類ごとにごみを数える行為が一部のユーザーさんにとって負担になり、ピリカを使うことが面倒になってしまっていることを考え、種類ごとのカウントは無くして、よりごみ拾いに集中してもらえるアプリを目指すことを決めました。

ピリカが向かう先

既にいただいている質問以外にも、ピリカのアプリや運営体制について、疑問や要望、不満などがある方はきっと多くいらっしゃるかと思います。ぜひピリカのアプリ>ホーム>設定>ご意見ご感想からメールを送っていただけますと幸いです。
いただいたご意見は、人類を含む地球上のあらゆる生命にとっての脅威となりつつある「ポイ捨てごみ問題/ごみの自然界流出問題」の解決に向け、ごみ拾いアプリ「ピリカ」をはじめとするサービスを改善するための参考にさせていただきます。(僕も全部読んでいます。返事は遅れがちですが...)
また、我々ピリカ(株式会社ピリカ/一般社団法人ピリカ)は「科学技術の力であらゆる環境問題を克服する」ために存在する組織です。今では5人の常勤スタッフを含め、40人以上のチームになりました。
今後も「ポイ捨てごみ問題/ごみの自然界流出問題」を最優先の課題としつつ、水質汚染や大気汚染、エネルギー問題といった様々な分野の環境問題の解決にチャレンジしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!
P.S. ピリカへの転職、提案、協賛などのご連絡もお待ちしています!!笑
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